管理人のつれづれ日記
2012/06/16/Sat
「輝く夜の」の作業中、情景描写みたいなのが多かったので、これ小説にはならないかなー、と途中まで書いてみました。後々どーしてもセリフと絵が一緒のコマに入ってる方がいいなあ、と思ったので諦めましたが。せっかくなので、ここに置いておきますー。
†††
「輝く夜の」
和綴じの本の表紙を軽く叩くと、窓から射し込む光に埃
が舞い上がるのが見えた。
「古臭い本ばかりだな」
隼人の独白に、本棚から次々と和書を取りだしていた
ミチルは、軽く唇を尖らせる。
「鬼についての話だもの。そりゃあ古いわ。だ
からこうして虫干ししてるんだし」
良く晴れて、気持ちのいい風が吹く午後。
青年の隼人はミチルの蔵書の手入れに付き合わされていた。
『御伽草紙』『今昔物語集』一般的に"おとぎばなし"と言われる
――しかし決して荒唐無稽な夢物語では無い事を、
隼人たちは身をもって知っている。
鬼は空想の産物などでは無い。
現実に人を襲う脅威であり、自分たちの敵なのだ。
一冊、また一冊と和書を手に取る隼人の動きがふと止まり、
手元の一冊をじっと眺めた。
その表紙には墨痕鮮やかに一つの題名が書かれていた。
『竹取物語』
「そうだ。黒平安京で、かぐや姫に会った」
「え!?」
突拍子も無い一言に目を丸くするミチルの様子に、
にやりと笑って付け加える。
「夢の中で」
「なんだ…」
「あっちの世界に行った直後、場所も季節も分からないんで、
夜を待って星を見ようと思ってたんだが――」
隼人は軽く目を瞑る。思い出されるのはめくるめく瞬く光。
「平安時代だからな。空気は澄んでるし、
邪魔する地上の光も無いから、星が凄くて。
正に宝石箱をひっくり返したような星空で、その中でも…。
ひときわ明るく美しく、星々を従えた女王のように、
煌々と月が輝いていた。
確かにあれは綺麗な姫君の話を想像したくなるかもな」
当然、夜道を照らす電灯などは無い。人工の物など
ほとんど見当たらぬ地上に比べ、その明るさは他を圧倒していた。
(暗い夜を照らしだす、輝かしい光――輝夜姫“かぐやひめ”)
†††
この辺で絵がいると思い知った(笑)。そういやタイトル、「輝く夜の」何なんだ、っていうと続く言葉は「姫君」です。「輝く夜の姫君」だと中身バレそうだなーと思って。「輝く夜の」
和綴じの本の表紙を軽く叩くと、窓から射し込む光に埃
が舞い上がるのが見えた。
「古臭い本ばかりだな」
隼人の独白に、本棚から次々と和書を取りだしていた
ミチルは、軽く唇を尖らせる。
「鬼についての話だもの。そりゃあ古いわ。だ
からこうして虫干ししてるんだし」
良く晴れて、気持ちのいい風が吹く午後。
青年の隼人はミチルの蔵書の手入れに付き合わされていた。
『御伽草紙』『今昔物語集』一般的に"おとぎばなし"と言われる
――しかし決して荒唐無稽な夢物語では無い事を、
隼人たちは身をもって知っている。
鬼は空想の産物などでは無い。
現実に人を襲う脅威であり、自分たちの敵なのだ。
一冊、また一冊と和書を手に取る隼人の動きがふと止まり、
手元の一冊をじっと眺めた。
その表紙には墨痕鮮やかに一つの題名が書かれていた。
『竹取物語』
「そうだ。黒平安京で、かぐや姫に会った」
「え!?」
突拍子も無い一言に目を丸くするミチルの様子に、
にやりと笑って付け加える。
「夢の中で」
「なんだ…」
「あっちの世界に行った直後、場所も季節も分からないんで、
夜を待って星を見ようと思ってたんだが――」
隼人は軽く目を瞑る。思い出されるのはめくるめく瞬く光。
「平安時代だからな。空気は澄んでるし、
邪魔する地上の光も無いから、星が凄くて。
正に宝石箱をひっくり返したような星空で、その中でも…。
ひときわ明るく美しく、星々を従えた女王のように、
煌々と月が輝いていた。
確かにあれは綺麗な姫君の話を想像したくなるかもな」
当然、夜道を照らす電灯などは無い。人工の物など
ほとんど見当たらぬ地上に比べ、その明るさは他を圧倒していた。
(暗い夜を照らしだす、輝かしい光――輝夜姫“かぐやひめ”)
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